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「新老人の会」、地方紙幹部にも危機感共有

 「高知で、日本で、カツオが獲れなくなってきている」。この危機感を高知カツオ県民会議のメンバーは、共有しています。どうしたらこの思いを、たくさんの人に知らせていけるのか―。県民会議の「言い出しっぺ」でもある、土佐料理「司」の竹内太一社長=県民会議副幹事長=は、「このままではいけない」と、色々な会合で、県民会議の問題意識の拡大に努めています。
 「黙っちゃおれないと、高知を愛する企業人が集まったんです」。9月17日午後、高知県民文化ホールで開かれた「新老人の会」四国連合フォーラム。70歳以上の女性が大半を占める約350人の聴衆を前に、竹内さんは、カツオ県民会議が生まれた時の思いを、熱く語りました。「新老人の会」の高知の代表世話人は、内田脳神経外科の内田泰史理事長です。
 「新老人の会」は、東京の聖路加病院の日野原重明先生が提唱された「新老人運動」の趣旨に賛同する方々の集まりとして2000年9月に発足。45の地方支部を持ち、地域に根差した活動を展開しています。17日の四国連合フォーラムで竹内氏は、竹林寺の海老塚和秀住職に続けて、「『自然との調和』と企業経営」と題して講演しました。
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 竹内氏は、土佐料理店の司が創業100年を迎え、感謝の気持ちを形にしたいと思ったことから話をはじめ、若いころから、鮮魚仕入れ担当として、全国の産地を飛び回ってきた経緯を説明しました。
 その過程で、日本の水産資源がだんだん枯渇してきていることを実感し「水産業の再生に向けて何かできないか」との問題意識を育んできたことを明らかにしました。
 その後、2009年に「日本カツオ学会」で、高知大学の受田博之副学長と出会い、2013年には、一般社団法人「海の幸を未来に残す会」を設立し、国際的な環境保護団体との交流も実現。持続可能な資源保護の大切さを確信していきました。
 そして、研究者と水産関係者だけでは、現状を変えることはできないとして、「カツオを取り戻すために高知が旗を掲げる」と、2016年2月、受田副学長、高知新聞の宮田速雄社長らとともに、高知の元気な地元企業の社長さん、マスコミ、飲食店、金融機関、酒造会社、スーパーなどの食品流通業者など、約100社を糾合し、カツオ県民会議を立ち上げたと解説しました。
 さらに、竹内氏は「経済合理性や目先の利益追求だけで良いのか」との思いに至っているとして、新老人の会との共通点を「不健全な文明に歯止めをかけ、与えられた自然を愛し、その恩恵に感謝して、良き生き方を普及していく」と指摘しました。
 参加者からは「カツオが捕れなくなってきているなんて、全然知らなかった」「頑張ってください」「私たちは何をしたらいいのか」といった声が挙がったそうです。
 ミニコンサートをしたシンガーソングライターのうーみさんも、県民会議の趣旨に賛同し、入会してくれました。
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 新老人の会に先立つ9月13日には、東京・内幸町にあるプレスセンタービルに入っている地方紙9社の東京支社長の勉強会にも講師役で参加。高知新聞ほか、信濃毎日新聞(長野)、山陽新聞(岡山)、南日本新聞(鹿児島)などの支社長に、県民会議の問題意識を伝えました。太平洋赤道海域での大型巻き網船による乱獲の状況や、フィリピン沿岸などではカツオの幼魚までが取り尽くされている実態も説明。支社長たちからは「全然知らなかった」との感想が出ました。
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 竹内氏は「各県にも、それぞれ県の魚がいるはず。それがいったいどうなっているのか、是非調べてみてほしい。そこから、高知のカツオに思いをつなげていただければ」と、日本の水産業全体の課題でもあるとの思いを伝えました。
(東京支部 西野秀)

by katsuonews | 2018-09-21 23:34 | カツオ

カツオがやばい!って知ってました?


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