大企業目覚めさせる行動を パネル討論(中) 第3回シンポジウム

第3回シンポジウム 

(高知市 2018.7.24)


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写真右から、
・ファシリテーター=受田浩之(高知カツオ県民会議会長代理/高知大学副学長)
・パネリスト=二平章(茨城大学人文社会科学部市民共創教育研究センター客員研究員)、竹内太一(情報発信分科会副座長/(株)土佐料理 司 代表取締役社長)、福田仁(高知新聞 報道部)


■政策や仕組みの矛盾、現場に


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受田 フィリピン、インドネシアのEEZ(排他的経済水域)で、尾叉長20センチ、30センチぐらいの小型のカツオが巻き網で獲られ、それがなんと鰹節になっていると。もしかすると、これは頭としっぽ、内臓を取らずに、そのまま鰹節に煮熟、焙乾をしている可能性もあるということが指摘をされています。本来は、そういう形では、食品の表示から言うと鰹節には該当しない可能性もあるいうことが言われている。乱獲は良くないっていう立場ながら、それが日本で身近な食材として利用されている。これを何とか食い止めるにはどうしたらいいかという問題提起ですが、一方で日本の国内事情から勝手にインドネシア、フィリピンの小型のカツオの乱獲を阻止しようということになると、家族経営をやっているインドネシア、フィリピンの国内事情、国内の経済がまた立ちゆかなくなる可能性がある。
 竹内さんのお話は、(日本の)消費行動が漁業の現場に対して改善の働きをしていくんではないかという提案です。食品加工メーカーが問題の鰹節を大量に使っているとすると、そのことをしっかり指摘しながら、消費者に対して、自主的、合理的な食品の選択をしてもらい、全体をひずまない形に修正していきたいと、そんな話になっているかと思います。


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二平 まずカツオ問題では国がちゃんと資源が減っているという立場に立ってほしい。そういう中で、日本の中に、資源から考えれば必ずしもエコじゃないような問題がある。私も2012年に教えていただいた。日本の中でも大きなメーカーさんが使っている。つゆだしメーカーさんって、大きいですよ。世界のメーカーであるかもしれない。そういう立場の方々なので、今、世界に打って出るときには、やはりエコとか、自然に優しいとかっていうようなことじゃないとなかなか通用しない。そういう世界になりつつあるので、ぜひ、ペンシルカツオを使わないだし産業になってほしい。いろんなメーカーさんに協力要請を、漁民側の方からもしたいなと思います。
 それからマグロ問題でも、産卵期のマグロの、身質が悪く、夏、値段が築地でもつかないようなマグロを大量に水揚げしているという問題について、やはり世界的なメーカーさんが持っている巻き網なので、ぜひ、それも自主的に自粛していただけるような協力はいただけないだろうか。これが家族漁業、沿岸漁業を救うんだから。こういうアプローチをこれからもっとしていく必要があるんじゃないかなと思っているわけです。


受田 メディア側からはどういうアプローチが可能ですか。


福田 カツオの不漁にしても、鰹節生産者の皆さんが直面している問題にしても、生産者の団体だけでは解決できない問題なので、やはり国の政策や世界的な仕組みというのを改善していかんことには、難しいと。個々の企業とかに、生産者に頑張れとか、もっと企業努力しろと言うのももう限界だなと。そこでやはり、皆さん頑張っているんだけども、船も次々と隻数が減っていきますし。これまで10年間取材してきた印象で言いますと、そういう国の政策だとか、世界的な仕組みの矛盾というのが現場に押し付けられているというふうに感じます。地域が生き残る、特に高知県が生き残るためには家族経営の小規模な漁業、農業が大切だろうと思いますので、微力ではありますが、そこらへんを皆さんに訴えていきたいと思っております。


■食品のトレースは世界の流れ

福田 ペンシルカツオは消費者に見えないところが問題だと思います。小さいカツオを見たら、大多数の方が、ちょっと痛ましいな、資源大丈夫かなって思うんですけど、それが液体になってペットボトルに詰められて店頭に並ぶと、そういう問題が一切見えない。価格と味覚だけで選択してしまう。そこで、現状、どういう材料を使っているかということを知る手段が消費者にないので、その選択肢を提供するというのは、非常に大きな一歩になるかなと思います。一般的に量販店に並ぶめんつゆ商品について、企業に「ペンシルカツオを使っていますか」という問い合わせをして、その回答を不回答も含めて一覧にするという、そういう選択肢は十分あると思います。


受田 ありがとうございます。もうこれ、具体的にやるべしという話だと思います。
 
二平 大変力強いと思いますね。メーカーさんにとっては、ちょっと痛い面もあるのかもしれない。どう答えるか、大変苦しむと思いますよ。だけど、そういうことに対していろんな方々が注目するだけでも強いインパクトを持つと思うので、まずそこから。もし県民会議の方々がやられるとすると、それは非常に大きな力になるし、漁民の方々も喜んでもらえるんじゃないかなと思います。


受田 ありがとうございます。私自身は今、内閣府の消費者委員会の委員をやっていて、来年度までで消費者基本計画5カ年が一区切りを迎えます。2020年度から第4期の消費者基本計画の5年間がスタートする。その議論を今、している。その消費者基本計画の中に「SDGs」という言葉があります。多くの皆様はお聞きになられたと思うんですけども、国連が定めて2030年までに必ず達成をしようという「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」というのが定められています。その14番の基本目標に「海の豊かさを守る」というのがあるので、これを基に消費者行動はいかにあるべきかということを訴えていくこともできるのではないでしょうか。まさにその「のろし」を、高知県から上げていく。カツオ県民会議には「食文化分科会」もありますが、座長の岡内啓明さん、いかがでしょうか。


会場(岡内啓明氏) 非常にあるべき話だと思いますが、日本の大企業のやっていることというのは、かなり矛盾をはらんだ現状がありますよね。生産効率や、安くどう合理的にやるのかいうところについてのベースの、今の実情があるでしょうから、それをひっくり返していくというのは、よほどの努力が必要ですし、覚悟が要るというふうに思います。


竹内 覚悟というほどのことはないと思いますね。今、世界的な動きとしては、やっぱり食品のトレースは重要。例えば、野菜なら育て方、魚なら漁法などを明確にしていくことが求められる。大企業はちゃんと胸を張って答えていけるようにしていくのが、これからだと思います。
 巻き網のカツオがタイに集まるのは「タイユニオン」という、世界最大のツナ缶メーカーがあるから。そこからヨーロッパやアメリカの大手の量販に回っていく。それで需要がどんどん増え、カツオのニーズが増えていった。ところがタイユニオンも世界でも有数な水産会社になったもんで、国際的なNGOが持続可能な魚を使いなさいというプレッシャーをかけ、それで2020年をめどに75%以上はサステナブルな漁法の魚しか扱わないということを公にしています。タイユニオンという、世界で一番巻き網のカツオ、マグロを使っていたところが変わろうとしている。そうすると、ニッスイであろうが、マルハであろうが変わらざるを得ない状況が必ず来ると思います。

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受田 そうですね。今、よく水産関係では「MSC」とか「MEL」という、海のエコラベルの話があります。トレーサビリティーが、原魚から加工まで一貫しているというシステム全体が価値となり、間もなく義務にもなっていくと思うんです。そういう世界になりつつありますので、まさにフードチェーン全体を消費者の側、特にカツオを愛する県民として高知県民がいかに率先をして、自らの消費行動を考えていくか。これも一つのアプローチかと思います。


竹内 逆に言うと、ペンシルカツオについて行動を起こすことが、相手側のメーカーさんのCSRとか消費者相談室を目覚めさせる可能性はあると思いますね。

                                                  (情報発信分科会)


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by katsuonews | 2018-09-14 10:55 | Comments(0)

カツオがやばい!って知ってました?


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