極小カツオのめんつゆ 消費者に問う パネル討論(上) 第3回シンポジウム

第3回シンポジウム 

(高知市 2018.7.24)


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写真右から、
・ファシリテーター=受田浩之(高知カツオ県民会議会長代理/高知大学副学長)
・パネリスト=二平章(茨城大学人文社会科学部市民共創教育研究センター客員研究員)、竹内太一(情報発信分科会副座長/(株)土佐料理 司 代表取締役社長)、福田仁(高知新聞 報道部)



■小規模・家族漁業を知ってもらう

受田 まずパネリストのお二人から簡単に自己紹介をしていただいた後、二平先生のご講演に対してご質問をいただき、それに二平先生からお答えをいただくというところから議論をスタートしていきたいと思います。まずは竹内社長、お願いいたします。



d0375307_10231449.jpg竹内 土佐料理司の竹内です。インドネシアやフィリピンで大量に獲られている極小の「ペンシルカツオ」の件は、消費行動と非常に密接に関連がある問題です。二平先生は、国際NGOと日本の一本釣りとが連携をするというようなお話をされましたけれど、具体的にはどういう形で。例えば、この前、シンポジウムをやったときには、国際一本釣り基金のクローフォード東南アジア支部長がお見えになって、「連携をしませんか」というお話もいただいたんですけど、具体的にどういうふうな連携をすればいいのかなというのがあります。


二平 そんなに具体的に考えているわけじゃないんですが、農業分野では家族農業を守っていく。家族農業が世界の食糧危機を救うんだという考え方が基本的にあるんです。一部の方が言っているわけじゃなくて、国連がそういうことをきちっと提起をして、それに各国が署名をして…。そういう考え方の下で、既に(中小農業者の国際組織)「ビア・カンペシーナ」なんていう団体もある。
 漁業についても日本の中に小さな漁業とか一本釣りなんかがあるということを知らない人たちが圧倒的に多いんです。日本は大きい漁業、企業漁業ばっかりだと信じている方々があって、小さな家族漁業がいっぱいあるなんてことを知らない。それを知らせる活動を国際的な形でやっていく必要があると思います。日本で困っている人たちがいるんだ。同じですよと。東南アジアの小さな規模の漁業者と一緒ですよということを伝えていく。


受田 福田さん、お願いします。



d0375307_10215602.jpg福田 一本釣りの取材をして10年になります。取材を始めた早い段階で二平さんに、「なぜ、一本釣りの皆さんを応援しようと頑張ってらっしゃるんですか」とお聞きしたら、「彼らは代弁者がいない」とおっしゃっていたのが印象的でした。
 10年たって今、竹内太一社長の「海の幸を未来に残す会」だとか、いろんな団体も活発にできて、だいぶ風は吹いてきたんじゃないかなと思います。二平さんの沿岸漁民連の活動も目覚ましいと思います。その流れの中に高知カツオ県民会議もあると思いますが、高知カツオ県民会議は、ハードルが高い問題に対し、限られたマンパワーでどう活動を展開していけばいいかというところで皆が頭を抱えております。そこで二平さんから、エールといいますか、ここをもっと頑張ればいいんじゃないかという提言がありましたらお聞かせください。


二平 私は外から見ていて、エールどころか、素晴らしい活動をされているなと思って感心して見ているんです。私は高知カツオ県民会議の活動を紹介したくて、カツオ漁業の発祥の地、和歌山のすさみ町でシンポジウムをやって、竹内さんをお呼びして基調講演をしてもらったんです。和歌山の知事も来ていましたけど、やっぱり皆さん、びっくりしていました。漁業者じゃない方々、本当に魚大好きの方々が「地域を活性化しよう」「地域の産業を大切にしよう」という思いで集まって、そして、極めてきちっと組織だって、何回も集まって議論しながらやられているというのは、大変もう感心、それだけです。この活動は日本をリードすると思います。


受田 会場からの質問、ご意見がございましたらお願いします。


会場(明神照男氏) 自分は昭和26年に中学校を出て船に乗って、そのときは自分たちに関係あるカツオも、それから鯨もイワシももう漁師の言葉で言いますと、「海いっぱい」という土佐の海でした。6月の中旬ごろから7月にかけてはイワシの塊、自分らあは、「エエトコ」言ういうがです。それをすいて(すくって)、カツオを釣る漁があったがです。それが昭和40年ごろからなくなった。イワシそのものがだんだん少なくなった。
 確かにカツオの資源問題は乱獲もあるとは思います。ただ、日本近海にどんどん、どんどん、回遊量が減ってきたというのは、イワシの減少も大きな一つの原因やないろうかと。

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二平 はい。ちょうどこの数年ですね、カタクチイワシ(セグロイワシ)は資源がずっと減ってきています。だけど、もう一つのイワシのマイワシは、近年また増えだしています。それからサバは割と増えているという傾向があります。僕もカツオの胃袋をいっぱい開いて見ていたんですが、多分カツオが好きなのはカタクチイワシじゃないかなと思いますね。カタクチイワシ、シラスも含めて、春に沖にシラスがいれば、腹いっぱい食べますね。それからオキアミも食べます。確かにカタクチイワシは減っているので、カツオが近海でかたまる条件が、(カタクチイワシが)いるときに比べれば悪いのかも分からないですね。ただ、マイワシやサバなどもカツオが上がってくる時期に産まれていますので、餌が主因ではないと思います。メインはやっぱり、私は獲り過ぎだと思っています。


■だしメーカーにアンケートを


竹内
 私はカツオが減っているのは、1990年に65万トンだったのが2014年には200万トン、西部太平洋地域で獲っていることが一番大きな原因だと思います。
 それはさておき、高知カツオ県民会議としては、消費行動を通じて参加できるような運動をしたいと思います。二平さんのお話で、(フィリピンやインドネシアなどで獲られる極小の)ペンシルカツオですね。そういうのを実は日本の麺つゆメーカーさんが材料として使っている。だから例えば、だしメーカーさんに、カツオ県民会議としてアンケートをして、「ペンシルカツオ、超小型カツオを使っていますか」という簡単なアンケートでいいと思うんですが、そういうのをカツオ県民会議のホームページでアップして、消費者の皆さんが選択できるようにするとか、そういう行動もこれから必要だと思います。


受田 はい、具体的な話をしていただきました。ペンシルカツオに関しては二平先生のお話の中にもありました。枕崎の水産加工業協同組合も非常に危機感を抱かれて、何とか食い止めていきたいというお話でした。取材した福田さん、ご説明いただきたいと思います。


福田 今から現物をお回しします。ペンシルカツオと通常の鰹節。大きい方が、鰹節といったらこういうものだろうと皆さん思い浮かべる通常の大きさで、比較することでそのペンシルカツオの小ささ、それから軽さというのが実感できるかと思います。ペンシルカツオの方もお腹にしましま模様が付いておりまして、それが紛れもなくカツオだということがご理解いただけるかと思います。
 5月に枕崎、山川という2つの鰹節産地を二平さんと回って、生産者の皆さんに集まっていただいて意見交換をしてきました。三つの現象がつながっているなというのを実感しました。まず一つは、このカツオ県民会議ができた最大の要因であるカツオが釣れないと、一本釣り漁業をやっている皆さんが困っているという現象。それからフィリピン、インドネシアで小さいカツオをたくさん取っているという、世界的な動きの一端が二つ目です。三つ目は、われわれが日常、食材として消費しているそうめん、ざるそばなんかを食べるときに使う麺つゆ商品に、このペンシルカツオが使われている可能性があるということ。この3つがつながっているのだなというのを実感しました。
 これはもうどうしようもないねっていうのではなくて、どうやら改善の余地がありそうだと。そこに高知カツオ県民会議ができた意味だとか、そういうのもありそうだなということを感じております。鰹節の生産者の皆さんも非常に困っておりまして、巻き網ですら漁獲が不安定になってきていると。取れる、取れない時期がある。原魚の調達に不安を抱いておられる。それから、小さいカツオの割合が高くなってきた。欲しい大きさのサイズがなかなか手に入らないときがある。そういう長期的な変化を彼らは身をもって知っていますので、このペンシルカツオの問題を知ると、ちょっとこれはまずいのではないかということで声を上げられたわけです。


(情報発信分科会)


by katsuonews | 2018-09-13 19:16 | カツオ | Comments(0)

カツオがやばい!って知ってました?


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