土佐料理研究家の故・宮川逸雄先生がカツオのたたきのルーツを探る番組が再放送!
2018年 06月 19日
6月20日のRKC高知放送の情報番組「eye+スーパー」(午後3時50分から)で、1991年に土佐料理研究家の宮川逸雄先生(2010年8月逝去)が、RKCのカメラとともに、カツオのたたきのルーツを探った番組が再放送されました。
宮川先生は、1951年、15歳で調理業界に入り、81年には「宮川逸雄料理教室」を設立。県内各地の料理教室で講師を務めながら、土佐料理の研究者として、歴史学、民俗学的なアプローチで、幅広く研究。80年にはその集大成である「土佐の料理」を刊行しました。県文化賞もうけた料理人であり研究者でもあった方です。
番組で宮川先生は、RKCスタッフと、薩摩半島の枕崎、和歌山の田辺市、那智勝浦町などをまわり、ルーツを探りました。枕崎では、カツオの切り身の回りを焼いて、冷水に浸し、刺身にしてから、二杯酢をかけていました。田辺でも、同様でした。これはいわゆる「焼き切り」です。
一方、高知のお店では、県民会議の竹内太一副会長の土佐料理「司」が紹介され、切り身の回りを焼き、刺身としてから、塩をふり、包丁でたたくやり方が紹介されていました。水につけず、焼いた香りがついたまま、塩やポン酢などをふり、包丁や手でたたいで、なじませるのが、「たたき」と「焼き切り」の違いでした。
たたきのルーツをめぐり、宮川先生は、足摺岬に向かい、若いころカツオ船に乗ってた2人に「たたきの最も古い調理法」と考えられる塩たたきを再現してもらっていました。
2人は海岸に降り、まず浜に打ち上げられている竹や木ぎれを集めて点火。三枚におろしたカツオの背と腹に薄く塩をふり、金網に乗せ表面を焼きました。薄く塩をふったまな板にのせ刺身とし、上にも塩をふり、包丁の腹で軽くたたいて皿にもりつけていました。
最初に塩をふるのは、火が必要以上に魚肉に通るのを防ぐためで、後でふる塩は味をつけるためだと、いうことでした。宮川先生は、浜に打ち上げられた竹や木ぎれを使った火について「火の当たりが実にやわらかい。生活の知恵だ」と高く評価していました。
こうした考察を経て、宮川先生は、カツオのたたきのルーツについて、足摺岬の西海岸に注目。磯魚の焼き切りが、カツオのたたきに発展した、と考察しました。
高知カツオ県民会議は、高知城歴史博物館とコラボして文化講座を開いています。9月22日には、「鰹を食べる~鰹の食文化」と題し、カツオの加工や保存、料理法や食べ方など、土佐のカツオの食文化について、紹介します。地元テレビや講演会でも、土佐の料理文化について発信を続けているRKC料理製菓専門学校の三谷英子校長先生が担当します。
三谷先生は、宮川先生をとても尊敬しておられ、文化講座でも、宮川先生の功績を取り上げる予定です。
eye+スーパーは、RKCが撮影してきた懐かしい映像を「RKCアーカイブ」というコーナーで紹介しています。皆さん、時間がある人は是非、ごらんになってください!
by katsuonews
| 2018-06-19 17:48