高知のカツオ漁の存続が危ない?!

d0375307_16492516.jpg
 「高知のカツオ漁の将来は危うい?!」。高知カツオ県民会議は4つの分科会があります。消費・漁業分科会は、スーパーマーケットや食品会社の社長とカツオ船主、市場関係者が参加する、構成に特徴がある分科会です。将来世代に海の幸を残す、美味しい高知のカツオを子や孫に伝えるため、カツオ資源管理の必要性は、2017年2月に県民会議が発足してから、メンバーの中で共有されてきました。一方で、カツオ漁自体が衰退していく現状については、当事者の方々の遠慮もあったのか、表だって語られてきませんでした。
 しかし、この問題は、日本の漁業全体に通底する問題です。同分科会座長の中村彰宏さんは、何とか県民会議からメッセージを出せないか、腐心しています。
 こうした流れを受け、3月16日の消費・漁業分科会では、分科会メンバーのカツオ船主から現状の説明を受け、意見交換が行われました。
 説明に立ったのは、第151明神丸(167トン)の船主、明神好和さん。
 まず、近海を中心にカツオ漁を行っている「高知カツオ漁業協同組合」がまとめた資料をもとに、水揚げ量がここ15年で減ってきていることが示されました。水揚げ金額も減少傾向です。一方で、単価はじわじわあがっています。
 明神さんは、こうした傾向をどう見るか、現場の立場から、いくつかの視点を示してくれました。
 第一に、水揚げ量の見方です。魚群探知機、レーダーなどの機能は日進月歩です。そうして探して、やっと今の水揚げを維持している。つまり、全体としては、カツオは捕れにくくなっているということです。また、漁師の実感としては、一つのカツオの群れ自体が小さくなっているそうです。20年以上前なら、一つの群れで、何隻もの漁船がカツオを釣ることができたそうです。
 第二に、必要経費は、上昇してます。まず、燃油。国際的な石油取引に翻弄され、値上がりは、収益を直撃します。次にえさです。カツオの一本釣りではイワシをえさにします。えさがとれなくなってきているそうです。その結果、九州から運んできたえさを使う「買い回し」をせざるを得なくなる。その場合、輸送費が載せされたえさ代は、2倍弱になるそうです。
 第三に、人手不足が深刻になっています。決まった休みがない、群れを見つけると一日中双眼鏡をのぞき続けなければならず、群れに遭遇すれば、一日中釣り続ける。日の出から日の入りまで働き詰めの厳しい労働条件を嫌い、漁師の喜びを知る前に、離職する人が多いそうです。港についてから、トロ箱に入るまでのカツオの水揚げは、今の完全に手作業だそうです。機械を使うとやはり、傷をつけてしまう。人に手から手に、バケツリレーのように上げるのが、カツオを大事に扱うことになるため、何十年も同じやり方だそうです。
 さらに、付加価値をつけて単価を上げるのは、中々難しいようです。生鮮魚介類の長期保存を可能とするとされる「窒素ナノバブル」は現在、試験的に使っているようですが、具体的な単価上昇に結びついてはいないとのこと。高知工科大が開発したスラリーアイスも、漁に出てすぐにカツオが釣れ、すぐに漁港に帰ることができれば、有効ですが、何日か魚群を追わなければならないときは、融けてしまうそうです。新たな技術の活用も、自然を相手にする漁業では、条件が合わなければうまくいかないとのことでした。
 収益が上がりにくい中、船の老朽化も進んでいます。分科会に参加した明神賢一郎さんによると、多くの船は、建造から20年以上が経過。新しいものでも14、5年たっているそうです。繊維強化プラスチック(FRP)の船体もさすがに、劣化するそうです。労働現場の安全性の面からも問題があるとのことでした。
 高知かつお漁業協同組合の中田勝淑組合長は、船の劣化には適宜、修繕しているが、修繕費用は右肩上がりで、数千万円に上ることもあるようです。
 こうした傾向を総合すると、高知のカツオ漁業の置かれている状況は苦しさを増していること分かります。利益が上がらなかった場合、補てんしてくれる制度の運用状況にもそれは表れています。
 高知の10㌧以上のカツオ一本釣り漁業による、漁獲共催支払共済金の支払い額は、平成25年で455万6792円でしたが、平成29年には5682万3859円に跳ね上がりました。積み立てプラス払戻補てん金をみると、平成25年は2140万円でしたが、平成29年には2億3708万円となっています。
 悲観的なことがばかり書いてきましたが、それではなぜ、高知のカツオ漁は続いているのでしょうか。カツオ漁師はしんどいばかりなのでしょうか。分科会の後、中田組合長が教えてくれました。カツオを一本一本釣り上げる時の豪快さ、カツオの群れを見つけた時の喜びは、なにものにも代えがたいそうです。また、カツオ漁だけに限りませんが、漁業を続ける事業主は、日本の船として日本周辺で操業することが、安全保障にもつながっているという誇りを持っているそうです。「漁業は単なる事業ではなく、人のために役にたっている。だから続けていくことができる」というのが中田組合長の思いでした。
 自助努力でカバーできることと、そうでないことがあるでしょう。今後も議論を進め、県民会議としての提言ができないか、と強く感じた分科会でした。
 (情報発信分科会 西野秀)*写真はイメージです

[PR]
by katsuonews | 2018-03-19 16:50 | Comments(0)

カツオがやばい!って知ってました?


by katsuonews