インタビュー「カツオ県民会議、私はこう考える」を再掲。第2回 宮田速雄高知新聞社長


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カツオ県民会議の面白いところは、こうした市民運動には、普段出てこないような人たちが、参加していることです。「中立公正」を建前としているのが報道機関(マスコミ)。ところが、高知新聞社は社長が本気になって、運動を引っ張っています。それはどうしてか?このインタビューは、そんな疑問をぶつけたものです!


Q 高知新聞社では、社会部、それも主に事件や裁判を担当してきた強面記者だったと聞いています。漁業への関わりはいつごろから?
A 実は私は1949年12月、高知県東部の室戸市で、マグロ遠洋漁業の船主の家に生まれました。かつての街の賑わい、マグロのうまさは格別でした。
 入社2年目の時に、ルポ連載を書くために、土佐のカツオ一本釣り漁船に乗せてもらい、千葉の銚子沖を1週間ほど航海しました。その時にカツオを釣らせてもらい、短時間で何十匹も釣りました。その時の感覚、それに船上で食べるカツオのうまさ、これまた格別でした。(笑)

Q カツオ県民会議は、マスコミ関係者もたくさん入っています。中でも、高知新聞社は、宮田社長が副会長となり、情報発信分科会座長も務めています。マスコミは「中立公正」が建前だと思うのですが、どうしてここまでやるのですか?
A すこし回り道になりますが、2011年3月11日、東日本大震災と大津波が、太平洋に面した地域を襲いました。高知新聞社と友好関係にある宮城県の地元紙・河北新報は、大変な想いをしながら、新聞を発行し、被害の実態と生活情報を報じ続けました。
 一方、日本全国で進行する人口減は、地方の新聞社にとって、存続の危機にもつながる大問題です。地震・津波被災と、人口減に直面した河北新報は、どうしたか。
 それは「地域の課題に踏み込んで取り組んでいく」ことでした。地域の防災態勢を作っていくワークショップである「結び塾」を、新聞社がサポートしてやっていった。
 これからの新聞社は単にニュース、情報を提供するだけではなく、県民と一緒になって地域の課題に取り組んでいく存在にならないといけないとおもいます。それが、南海トラフ地震であり、カツオであり、さらには1次産業全体であるかもしれません。

Q 確かに一般の新聞は、それほど漁業のことは取り上げてきませんでしたね。
A その反省もあるんです。幸い、高知新聞社は、2008年2月から「漁の詩(すなどりのうた)高知の漁業最前線」と題したカツオ問題を含む長期連載をし、本にもまとめました。10年前の問題意識ですが、まったく古びていません。それは、カツオが捕れなくなっていること、高知の漁業が衰退している状況に変わりはないということでもあります。

Q ここ1、2年はカツオ関連の記事が、大変多くなってきましたね。
A 高知カツオ県民会議が発足した17年2月、「カツオと生きていく」という新しいワッペンを作り、08年の企画を担当した福田仁記者、釣り師でもある八田大輔記者の2人を中心に、連載を続けています。2月にはカツオ資源の現状を国際的な視点も交えた「持続への挑戦」、4月には中土佐町の「第18八広丸」の船上ルポ「一本釣りなう」、6月には土佐清水市の「第36新生丸」の操業ぶりを掘り下げ、人材難や経営の厳しさを伝える「激流の中の近海船」、10月には不漁と言われながら高知でなぜ、美味しいカツオが食べられるのかを陸でのカツオの流れを追った「流通編」をやりました。12月には、カツオの水揚げ港として、高知との縁が深い宮城県気仙沼を取り上げています。

Q 改めて読んでみるには、どうしたらいいですか?
A 高知新聞を取ってくださるのが一番いいんですが、高知以外の人で読めない人もいます。そこで、原則としては、認めていない新聞の2次利用の問題を考慮しながら、カツオ資源保護に資する形で、県民会議のホームページにアーカイブを作り、読んでもらえるよう準備を進めています。

Q ふるさと室戸のマグロ漁は、今も続いていますね。
A 随分、隻数は減りましたが、若い船主たちがやっている「土佐室戸マグロ軍団」が、なんとか盛り上げようと、マグロの解体ショーなどをイベントでやっていると紙面で読みました。高知の船は、マグロでも延縄や一本釣りだと聞いています。小さな魚まで捕ってしまう乱獲への問題意識には、県民会議との共通点があります。

Q 今後の運動の展望について。カツオのまき網業者とはどうつきあっていくべきだと考えますか?
A 県民会議は決して、まき網と対立するためにできたわけではない。このままだと、まき網も駄目になるんじゃないか。まき網も一本釣りも、お互いに持続可能な漁業のあり方を一緒に考えていきたいね。キーワードは「持続可能」、そして「連携」です。いろんな人、団体と連携する。カツオに関係するいろんな県、いろんな国とも連携する。そういったことによってこのうねりを大きなものにしていく。さらに消費者とも連携するというのも非常に大きなポイントになる。道は険しいが、元気にやっていきましょう。

(2018年1月25日)


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by katsuonews | 2018-03-16 10:19 | Comments(0)

カツオがやばい!って知ってました?


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